左京区にある小さな間取りのカジュアルフレンチ。ラーメン屋が並ぶ学生の多い通りを北へ抜けていくと突然現れる、異国感溢れる空間。まあそんな事より特徴的なのは何と言っても店主。料理やワインがきた、かと思えば他のテーブルのものを見せびらかしに来ただけであったり、カウンターから熱烈な目線を感じて見るとウインクを飛ばしてきたりする。1人で回しながらその過剰なサービスを店内の全員にしているのだ。料理ももちろん美味しいが、そのクセを味わうためにわざわざ予約して行ってほしい。
ここにたどり着いたのは偶然だったはず。店なんかなさそうな場所に小さな「龍園」ののれん。入ると目に入るのは赤いカウンターにある緑の一見かき氷機のようなもの。この店は餃子だけを味わう定食が1番人気。おばあちゃんが手回しで餃子の皮をかき氷機のようなもので引き伸ばし、1つずつ包んで餃子を作っていく。まるで饅頭を丸めるみたいな手つきでもちもちそうなそれができていく。みんながそれを眺めながら、餃子定食が出てくるのを待つのだ。
「フライは初めて?じゃあとりあえずこれ持って。」ぶっきらぼうだけどフレンドリーな管理場のおじちゃんがざっくりと教えてくれたフライフィッシング。池の中に長細く続く釣り場。釣り上げると間も無く数分でここのブログにアップされる、現代文明を使いこなすおじちゃん。受付でお金を支払うとチケットを渡されるんだけど、それに描いてある可愛い釣りガールの絵はおじちゃんがマウスで手描きしたもの。
大原という、街から北へ北へ。畑が並ぶ田舎のエリア。コンビニエンスストアとローカリティは本来は相反するものだが、オススメしたいコンビニエンスストアがあります。それがこの通称「大原のファミマ」。私の友人たちはこれでどこのファミマかわかるという不思議。まず田園風景に向かって広がる駐車場。前向き駐車をすればどこにも劣らない素晴らしいロケーション。店前にもテラス席が設けてあり、昼間はご近所同士のコミニティーになっているんじゃないかな。建物の隙間にあるなんでもない空間の使い方が下手だと言われる日本人ですが、きっと元々はそんなことはないと、ここに来ると思わされる。
実は私が京都に住む前、たまたま家族で来たことのあるお風呂だ。京都でのファースト風呂。銭湯価格でほんまにええの?と思える立派な門構え。サウナもあるが、温度計がないので体感で温度を測り、心地よい分数を測るのも楽しい。男女は日替わりだが、鯉が泳いでいるのが見える方の露天風呂に入ると脱衣所のおばあちゃん方と目が合う。タイルの模様はどこかモダンで、木造建築ともとてもマッチしている。「温泉」とつくと日常から離れてしまう感覚があるが、名前よりもっと町に溶け込んだいい風呂だと思う。
小さな木々のジオラマ、盆栽。京都駅近くの家の庭のようなところでたくさんの盆栽が管理、販売されている。いろんな盆栽を販売しているところあるが、ここは京都らしく家の小さな門のようなところを訪ねて開けてもらう。たくさんの盆栽が並ぶ中で、お客様から預かっているという盆栽のエリアがあった。盆栽にも競技があって、小さいものから育ててコンテストに出す人や、初めにお金をかけて立派なものを買って手入れをして出す人など様々らしい。苔は土の呼吸を妨げるのでコンテストに出す時だけ被せる人もいるらしく、苔が盆栽の衣装だと初めて知った。そのようなことを教えてくれる盆栽屋。
扱うもののジャンルに縛られたくないからと、ひらがなで「ものや」という屋号で古道具などセレクト、販売に加え最近はプラスチック製品の製造工程に生まれる形を面白がった展示など活動は様々。プロダクトデザインを学んだたくじさんと、家具デザインを学びデンマーク留学もしていたときさん、建築を学び、卒業後は福島の設計事務所に勤めていたが、2022年6月より再びチームに合流したガッキー、あと広報担当のタロウの4人で現在は活動中。京都は神社で毎月蚤の市が開催され、ガチャガチャしている中を探して魅力的なものに出会える場所がある。私がたくじさんと出会ったのもそんな京都らしい街、一乗寺にある多国籍料理屋のアルバイト同士。4人自体が蚤の市のような魅力のある、兄ちゃんたちの店。
自然が豊かで、古いのに新しい。このちょっと変な街、京都での暮らしが今の仕事に出逢わせてくれたんだと思います。
竹之内さんが学生の頃から好きなお店や場所、大人になって新しく増えた趣味から選んだ7箇所をご紹介していただきました。