あぁ優しくしてほしい!ってすこし弱ってしまったのならぜったい猫町。学生時代を左京区で過ごした私にとっては拠り所になっていました。実際に徒歩2分程のところに住んだこともあるくらい。思い入れが深いお店です。ずっしりした木の重い感じに甘えたくなるカウンターに座って、私は昼下がりに遅めの「今日のおひるごはん」と食後にコーヒーをいただくのが定番。ふんだんに使われた野菜たちが活き活きとしていて食材への愛情を感じます。おひるごはんについてくるお漬物までも自家製されていて、これがまたおいしい。料理だけでなくコーヒーや、スイーツ(ラムが効いた猫町パフェは何かしらのご褒美に食べたい)もおすすめ。心にほくほく灯りをともしてくれるあったかいお店です。
左京区百万遍の交差点にほど近いビルの2階にひっそりとお店を構える居酒屋さん。お魚をあてにお酒がのみたくなったらまずここが思いつきます。学生時代は友人と語り合って気づいたら12時をとっくに過ぎてる!なんてこともよくありました。料理は和洋折衷、さまざまな味が楽しめます。料理は味付けや盛り付けがどれも丁寧で、それでいてリーズナブル。あわせてお酒のメニューも豊富なので楽しみ方も千差万別。私のおすすめは「じゃばら酒」のロック。日本酒ベースのリキュールです。普段は果実酒を飲まない私ですが、これだけは絶対2杯は飲んじゃう。香りと酸味が強めなのに何にでも合っちゃう。心地いい夜になること間違いなし!
京都の中華は一味ちがう。京都の中華には京中華とよばれる数多くの名店があり、街がつくりあげてきた独自のルーツがあります。ここ鳳泉は河原町二条にある京中華のお店です。私は酢豚のパイナップルに心を許したことがありません。でもここの「酢豚」はちょっとちがう。豚の相棒に選ばれたのはパイナップルに加えて、ライチときゅうり。なんとも妙ちきりん。それらを透き通ったキラキラ光るあんがまとめていてが食欲を掻き立ててきます。こんなに絶妙な酢豚を私は知らない。人参も玉ねぎもピーマンもいらないんですよ、パイナップルがいいんですよと胃と脳を納得させちゃう。中華特有の刺激の強い香辛料やにんにく、油を控えた味はとってもやさしくて刺激が少ないのに五感を刺激してくる味。私にとってはニュー中華。
京都はコーヒー消費量がなんと国内一位ということもあり、街中のいたるところに喫茶店があります。私もコーヒー好きな一人ですが、マイ喫茶店が誰しもあるような気がします。このタナカコーヒ今出川店は河原町通に面し、昔ながらの風格を感じる喫茶店です。(全席喫煙可なのでたばこが苦手な人はおすすめしません)ここはなんといってもコーヒーカップがいい。カップ部分に耳のような持ち手がついてる。厚めのカップなので少々熱めのコーヒーでも唇にやさしいです。コーヒー以外でのおすすめはサラダ。モーニングでサラダがついていないものを選ぶのなら250円のミニサラダをぜひ追加してほしい。通常メニューの隅っこに載ってる「コンビネーションサラダ」は、サラダの王様か!ってスキップしたくなるくらい感動するのでそちらもお試しあれ。
寺町二条にある西洋民芸品のお店です。所狭しに並んだ異国の雑貨たちが、京町屋を活かしたお店にしっくり馴染んでいて唆られます。私はこのお店で布ものや食器などのキッチン用品を宝探しをするように物色しては、これだ!ってものに出会えたらおうちに連れ帰っています。このお店で出会ったルーマニアで焼かれたという白い素朴なお皿は我が家の食卓には欠かせない一皿です。インドのチャイグラスは友人が遊びにきた時の乾杯のビールグラスに。どれもその土地の歴史や文化を感じるような趣深いものばかりですが、日本人の私の生活にずっといたかのように思わせてくる安心感があり、するりとフィットしてくれます。家にすこし風を吹かせたくなったらここです。
自分が働いているところを紹介するのは少々気が引けますが、この店の一ファンとしてぜひ紹介させていただきたい。河原町丸太町に20年お店を構えるデリカッテッセンです。地下50mから汲み上げた御所南の天然水で野菜を洗い、料理に欠かせない基本のスープをとっています。私はここで働きだしてから市販の飲料水の味を選ぶようになりました。シェフに口酸っぱく教えてもらうことは塩の使い方。素材のもつ本来の味とのバランスを見極めること。シェフの料理はそのバランスが秀逸です。小技がキラリと光り、馴染みのある食べたことある料理なはずなのに食べたことのない深い味がします。夕方にはほとんどの商品が売り切れてしまっているので早めの来店か、予約がおすすめ。ランチタイムはお弁当も販売しているので近くの鴨川で食べるのもいいかも。
秘境ってこういうところをいうのかな。京都に住んでる人でも知っている人それほど多くない気がします。京都は山をぽっかりあけて街を入れました、みたいな感じがして結構すぐ近くに自然を感じることができます。この沢ノ池は標高410mの場所にある(京都市街地は標高20~30m前後)、江戸時代末期に農作業用のため池として設けられた人工池。池につながる河川がないので雨水でできてるらしいのですが、とにかく水が透き通ってて美しい。ここに簡易チェアとシングルバーナーを持っていってコーヒーをのんだりゆっくり過ごすなんておすすめです。風が通ってる。ただ、池以外は人工的なものが一切ないのでデートには向かないかも。気心の知れた方とトライしてみてください。
川端通り三条をすこし北へ行くとある和酒専門のお店です。外から覗いてわかるほど品揃えが豊富なので、いつもどれにしようか頭を抱えてしまうのですが店員さんが熱心に提案してくれるので安心です。日本酒に詳しくなくても、やんわりしたイメージで趣向をしっかり探ってくれるので間違いないものに出会わせてくれます。酒蔵でどのように作られているか蔵元さんのストーリーも教えてくれたりするので、一本への愛情がぐっと深まっておいしいが上乗せされていくのも嬉しい。ついつい何本か買ってしまったり、リピートしてしまったり。帰り道はお酒を主役にして晩ごはんを考えるのが楽しくなります。贈り物を選ぶにも外さないので日本酒に迷ったらぜひ。
御所南にあるバナナの木が目印のカフェです。店内には大きな本棚があり、まるで異国の図書館のような印象。コーヒーを片手に本を読む人。友人とお酒を愉しむ人。真剣に話し合ってる仕事仲間かな?な人。大きな口をあけてお肉をおいしそうに頬張る外国の人。ソファ席で和気藹々と食事を楽しむ家族。みんな思い思いの時間がここにあって、すべてをまあるく受け入れてくれるような、いつ行ってもアットホームな空気を感じるお店です。流れる音楽も心地よさのひとつのエッセンスとなっていて抜かりがない。メニューはしっかりごはんからスイーツ、ドリンクも充実しているのでひとりでも誰と行っても楽しめます。私はここに初めて行った時から暖炉と不揃いなのにまとまったかっこいい家具たちに憧れています。
休日まだ明るいうちから飲むなら、足が向くのは決まってここ。
暖簾をくぐると店内にずらりと並ぶ短冊メニューに心が躍ります。社会人になりたての頃は四条で仕事をしていたので、家に帰る前にふらっと立ち寄っていました。仕事終わりのおじさんたちに囲まれて、ドキドキしながら一人で立ち飲み席でお酒を飲んだときは、おとなの仲間入りができた気持ちになってとっても嬉しかったものです。店内は立ち飲みカウンターと奥にテーブル席、座敷があります。私が必ず頼むのはやさしいお出汁の「季節のおひたし」。あとは店員さんにこの季節、今だったらこれ!を聞いて注文します。たのしくお酒を飲むおとなたちの笑い声に包まれてついついお酒もすすみます。これが私の憧れた居酒屋だったんだろうなぁ。
昼下がりから、夜まで。食に近い岩田さんだからこその、京都のお楽しみを紹介していただきました。