ショップに入店した際にディスプレイを意識したことはあるだろうか。ショップにおけるディスプレイとは簡単に言うと、什器をどこに置いて什器にモノをどう配置するかである。itouの店内には不安定なのか安定してるのかわからない、緊張感のある什器が設置され、その上にモノ(古道具)が配置されている。しかもそれが、お店に来る度に什器ごと配置が変わっているのには最初驚いた。itouは店主にとっての心地よさを求めて作られた空間にお客さんがお邪魔する感覚に近い。モノは手にとって寸分狂わず元どおりの場所に戻さなくても大丈夫。店主はそんな外的要因も楽しんでいるので。
古道具屋の新しい可能性を模索しているニューウェーブ的存在。古道具というと木材や金属、陶器など、経年変化を楽しめる素材を連想しがちだが、ものやはプラスチックなどの素材も好んで扱い、チープさもデザインとして楽しんでいるような印象を受ける。店主2人ともデザイナーでもあり、デザイン的視点と絡めて古道具を見せたりオリジナルの制作をしているのも面白さの所以。他ジャンルに試行錯誤する彼らを見ると今後ますます唯一無二な存在になると確信している。
記号的なモノが並ぶ古道具屋。一般的に想像する古道具とはまた少し違うフォルム。店内には◯△□のやけに綺麗な形のモノたちが並び、その一つ一つは古道具的な古びた良さを兼ね備えている。はげた塗装や、角のスレ、そういった退廃的なテクスチャと形の綺麗さのコントラストが面白い。元牛乳屋の変わった店内レイアウトも楽しみポイント。家にポンと置くだけで空間が映えるオブジェが手に入る。
「泊まれる雑誌」というコンセプトのショップ。文字の通り宿泊することのできるショップで、雑誌のように編集されたモノたちが店内には並んでいる。ショップに宿泊する体験はなかなか他ではできない。旅をテーマにした作家の小物やオリジナル製品が並び、いわゆる土産屋とは全く違うラインナップ。京都外から来た人が楽しめる作家ものはもちろん、magasinn kyotoでは話題のアイテムをいち早く京都に取り入れる役割も担っていると個人的には感じる。京都人も定期的に訪れたくなる。
京都から新しいカルチャーシーンを発信している作家作品を扱うショップ。店内には一見ポップな見た目でありながら、どこまでも深い作家作品が並ぶ。「え、おもろ」な企画展が毎回行われており、いつ訪れても刺激をもらえる。今まで触れてきたことのないジャンルのモノが並んでいるのにも関わらず「なんか良いぞ」と思わせる絶妙なバランス。オリジナルのグッズやアパレルも展開していて京都人の御用達。店舗自体も変わっていて、2つの建物が合体した通常ではありえない構造をしているのも見もの。
自分の関わっているお店を紹介するのも申し訳ないが、間違いなく良いお店と思ってるので紹介させて欲しい。酢橘堂では海外から店長の大田がセレクトしたヴィンテージの花瓶や食器、KENTO HASHIGUCHIのバッグをメインに販売している。絵や陶器などの作家展も定期的に行っていて、情報に左右されず自分たちが純粋に良いと思ったモノを取り扱っている。モノ一点一点と向き合える空間づくりを心がけており、余白のある店内を楽しんで欲しい。2021年4月末より京都円町に移転し、店舗は大幅に広くなり、良い光が入る空間に。ぜひ一度遊びに来て欲しい。
叡山電鉄一乗寺駅すぐに構える本屋。本はネットで買う時代にわざわざ訪れたいオフラインならではの本との出会いがここにはある。一般的なカテゴリーごと、機械的に並べられた本屋ではなく人間の編集がしっかりとされた本が並ぶ。それが訪れた人への本の提案になっていて、接客など通さずして自らの直接検索では出会わなかったであろう本と巡り合うことができる。ギャラリーや文房具、生活雑貨も取り揃えており、本以外の要素でも買い物を楽しめる。
古い家具や什器を手に入れたいならまずここをお勧めしたい。値段も手頃で国内外のテーブルや棚、その他諸々の家具を見ることができる。価格が比較的手頃なものが多く、入れ替わりも多いので定期的に訪れてはピンとくるものがないか偵察に行く。京都内の配送や京都外への発送もしているので交通機関で訪れても良いのが嬉しい。購入した家具は自分で塗装を塗り直したりするのも古家具の楽しみの一つである。店の奥にはカフェスペースがありカレーが美味しい。
出町柳の商店街の中にある小さな映画館。小さな映画館は年々消えていく中、逆に数年前に新しくオープンした異彩を放つ存在。1階はキッチンをぐるっと囲むカウンター席のカフェ。その背面には大量の本が販売。券売機で映画のチケットを購入し、カウンターで座席を決める。映画が始まるまでの時間カフェでゆっくりもできるし商店街を散策に出かけるのも良い。シアターは50席ほどの空間で、手作り感もある雰囲気がまた良い。大手で配給されていないが見る価値のある良映画がいつも上映されている。
名前のとおりゴリラみたいな店主がやっている洋食屋。元自衛隊コックという異色の経歴持ち。とんかつなどのメインにつきあわせの野菜、お味噌汁にご飯のセットで1000円ちょっと。お勧めはつなぎを一切使っていないハンバーグ。このハンバーグと一般的はハンバーグは全く別物と思って欲しい。つなぎを使ってない分、肉々しさが半端ない。味はどのメニューもシンプルに仕上げており、素材と火の通し方で勝負しているのも推せるポイント。洋食を食べたくなったらここで決定。店主は調理もしながらで忙しいのでお会計はご一緒でお願いいたしたい。
京都の最先端とも呼べる穴場なお店を、作り手として、使い手としての視点と共に紹介していただきました。