三条大橋を渡ってほどなく、400余年の歴史を持つみすや針はある。日本唯一の縫い針専門店として、針仕事を静かに支え続けてきた。
屋号の「みすや」は、宮中で御用針司として針作りをしていたとき、清めの意味と秘術を漏らさぬ配慮で御簾の中で仕事をしていた様から、後西院天皇が命名なさったそう。
『みすや』の暖簾をくぐると針がようなる」と言われるほどに、みすやの針は別格だ。針仕事はわれわれから離れたものになりつつあるが、一本にかけるみすやの知恵は健在。針の中に広がる先人の技術と誇りは、小さき宇宙そのものだ。
由緒あるお店だから、わたしも行くのに緊張していたのだけど、ご主人と奥様はとってもお優しい人だった。
針は小さい。針穴や針先はもっと小さい。そういう小さなものをここまで大事に守ってきたから、朗らかに優しく笑えるんだと思う。
ここではみすや針に秘められた知恵の公開は割愛。素敵なお庭のあるみすや針に足を運んで、自分の体験として手に入れて。
津之喜酒舗
錦市場の真ん中、人々で賑わう酒屋