お花のかたちのほうる。かりっ、しゅわ、のやさしい味を作り続ける河道屋は姉小路にある。創業当時は餅菓子屋でしたが、蕎麦屋に変わり、明治の初めから蕎麦ほうるをつくっている。pole、bolo、なまってほうる。ちなみに、あの愛くるしいかたちの真ん中は、つぼみと呼ぶよ。
1688年に創業した河道屋。問答無用で老舗だが、温かな接客で入りやすい。蕎麦ほうるは芳ばしい香りとじんわりとした甘みが特徴だが、店の雰囲気とのマッチ具合もクセになる。友人への手土産から一人旅のお供まで、不思議とどんな場面にもしっくりきて、和ませ役を担ってくれる。
河道屋には蕎麦ほうると生蕎麦しかない。たった二つでも、人々は足繁く通う。人の心をつかむには、突拍子ない仕掛けとかが必要なのかと思ってしまうが、河道屋は素朴な美味しさだけでここまで戦ってきた。お菓子をあの人に、一人でゆっくり、そういう時間を考えたときに、河道屋は誰かの頭に今日も浮かび続ける。
津之喜酒舗
錦市場の真ん中、人々で賑わう酒屋