京都100年かるた

京都「ぎぼし」
思い出すだけでよだれの出てくる品々

半分殺して半分生かす

ここは四条通、錦市場近く。
ビルの裏にひっそりと重厚な趣で佇むのは、明治元年より商いを続ける昆布の専門店、ぎぼし。

店一番の売りは、今なお職人の手で作られる”黒とろろ昆布”。
店主はそれを「半分殺して半分生かす」と表現する。
ふわふわすぎず、昆布のもつ繊維を絶妙に残したとろろ昆布は、機械削りでは絶対に真似できない。

手土産にピッタリな吹よせ、酸味の強すぎない上品な酢昆布、山椒と塩がピリッときいた塩昆布はご飯のお供には勿論、酒のつまみにももってこいだ。
思い出すだけでよだれの出てくる品々を、ぎぼしは長年提供し続ける。

昆布の向こう側

ぎぼしに行くと、歳時や用途によって加工を変え、どんな「時」「場」「人」にもしっくりくるような工夫たちに驚かされる。

昆布の裏側には、京料理など他文化とのつながりもよく見える。
こんなに長く、沢山の人間に愛されるのは、ぎぼしが多種多様な時間への愛を持って作るからこそだ。
昆布は出汁を引く際のエース的存在であることはよく知られるが、活躍時がそればかりではな
いことをここに行くと教えてもらえる。

ぎぼしが渡す時間

作る人の心意気は、作ったものを見ればわかる。ぎぼしの品々は、ご主人や奥様の人となりが大いに出ていると感じる。

子供、大人、お酒の場、御老人、打ち合わせの時間、家でゆっくり過ごす休日。
そんなあらゆる時間を想定して、丁寧に作り、包み、人の手で渡す。
私たちは昆布を買うと同時に、その先にあるしあわせの時間も受け取っているのかもしれない。

今日の食卓に、お酒の時間に、またはおやつに。ぎぼしを添えてみてはいかがだろう。

ぎぼし

場所:〒600-8006 京都府京都市下京区柳馬場通四条上る立売中之町108
営業時間:9:00~17:30
定休日:日曜日・祝日

かるた

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