京都100年かるた

「八木庖丁店」
長く親しまれる京都きっての包丁屋

はしる包丁

錦市場の賑わいを横目に路地を曲がると、八木庖丁店に辿り着く。
プロの料理人向けのものから一般家庭でも扱えるものまで、満足のいくラインナップで料理道具を展開する京都きっての包丁屋だ。
刀鍛冶として亀岡で殿様に使えたのち、廃刀令が出されたタイミングで今の場所へと移り、包丁屋を初めたそう。
経験していることが「廃刀令」だ。
それだけで長い時とともに走り続けた店なのだと実感できる。

つかう美しさ

庖丁というのは、言うまでもないが料理に使われる道具だ。
肉を切り、魚を締め、野菜をきざむ。
その作業のためだけにある無駄のない形なのだから、これこそ機能美と言える。
切っ先の鋭利さ、艶感は、見ているだけで惚れ惚れとするが、使った人にしかわからない「手に馴染む」感覚は、本当に癖になる。

庖丁一つ違えば、出来上がる料理も違うと聞いたことがあるが、八木庖丁店に行けばそれも頷けてしまう。

囲むために買う

そうそう、八木庖丁店は誰もが知る老舗だが、思ったより敷居は高くない。
どんなときに、誰が使う道具なのかを丁寧に聞いてくれる。
伝統は引き継ぐが、新しいものの良い点は受け入れる。
そういう姿勢で常に商いを続けてきたから、長い時を経ても親しまれるんだろう。

料理というものが仕事の人もいる、家事の人もいる。
食べることより大好きな人もいればめんどくさい人もいるのが当然だ。
暮らしと近いから、余計ないがしろにされがちな料理道具だけれど、自分の得意料理を良い道具で極めてみよう。
そして、上手にできたら、誰かと食卓を囲もう。

八木庖丁店

場所:〒 604-8123 京都府京都市中京区堺町通四条上ル
営業時間:10:00〜17:30
定休日:木曜日、第一金曜日

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