a.m. 9:10
河原町三条下って西側の並びにある、創業55年の「インパルス」。
ドア付近に貼られている「モーニングセット!」という張り紙を目印に
お店の前で待ってると、店に灯がつき、店主が植物を店先に運び出しました。
ガヤガヤとした昼間と違って河原町の朝は、どうやらゆっくりに感じます。
お店は、うなぎの寝床のような長細い間取り。
手前はカウンター席。奥にはテーブル席がいくつもあります。
初めて入店した私たちはカウンター席を見つめつつ、急ぎ足で奥のテーブル席に。
洋風な作りの店奥には、京都らしい「小さい石庭」がありました。
私たちは、小さい石庭が見える席を選びました。
プレッツェルのような椅子に腰を掛け、
モーニングセット!を注文してから待つ間、店内に流れるジャズに合わせて思わず鼻歌が。
京都 太秦で始まり、ジャズ喫茶と純喫茶の二足の草鞋を経て、
地元の人に、観光客に愛され続ける「純喫茶 インパルス」
ジャズ好きには必須!アメリカの名門ジャズレーベルから
お店の名前は「インパルス」に。
ジャズ好き、コーヒー好きの先代お手製の看板が店先にいくつもあります。
インパルスでいただけるモーニングセットはただ一つ。
「モーニングセット!」(¥650)は、
写真の通り、トースト・ゆで卵・ドリンク(コーヒーor紅茶)のみ。
喫茶設立当初から変わらないスタイルで、
これが“純喫茶 王道のモーニング”なんだとか。
サラダを足したりと、考えたことはあったそうなのですが
このスタイルを突き通し続けて気づけば55年も経ったそうです。
お皿もカップも昔のまんま。
揺るがない、美しさにニヤニヤが止まりません。
食べて驚いたのが、トースト。なぜか、とても、ジューシー!!!
バターが効いてるのか、コーヒーもブラックで飲めちゃいますし
ひとくちかじるたびにバターがにじみ溢れます。どこのバターなのか尋ねると、
「バターちゃう!トーストや!トーストが全てやねん」と
お母様(ウェイトレス)に喝を入れられました。聞くと、このトーストは
卸売り専門の“丸善パン”(京都 山科)から仕入れてるもの。
仕入れも50年以上変わらず、角パン(サンドイッチ用)と
山パン(モーニング用)の2種を。モーニングには、山パンが使用されており
目が粗いためバターがよく、染み込むんだとか。
トースト半分をあっという間に食べてしまい、残りの半分はゆで卵と一緒に。
白身プリンプリンッで、少し硬めのゆで卵でした。
食べ終えた後、私たちの目線はショーケースの中のケーキに、、。
ケーキ屋さんから仕入れるケーキたちは40年変わらず、この4種。
トーストと、食器類と、このケーキがお母様のこだわりに感じました。
昔ながらの、肉厚のあるアップルパイが名物だそう。
パイ生地は薄く、甘いりんごがゴロゴロと。インパルスさんの
コーヒーとの相性が抜群。モーニングセット!の食後用に、
コーヒーを飲むペースを考えないといけないです。(温かいうちが美味しいので、2杯目頼むのがおすすめ。)
モーニングの時間からしばらくすると、店先ではコーヒー豆の焙煎が
はじまります。インパルスの朝は、ジャズとコーヒー豆の音。
友人やご家族といらっしゃるお客様もいれば、お一人でふらっと
立ち寄る方も。みなさん、それぞれの時間を過ごされていました。
「誰かの思い出の背景になれるように。スタイルを崩さず、価値を
決めるのは僕らじゃなくてお客さんなんです。」
私は平成生まれですが、店主さんとお母様の掛け合いや、
店の空気がどこか懐かしい気持ちになりました。
昔を想いタイムスリップしたような時間を過ごせるひと時でした。
お話をお伺いしたのは、現店主の松井さん。
サーフィンに、アウトドアに、犬の散歩…と多趣味!
高校卒業後、老舗喫茶イノダコーヒの厨房で10年働いた後「インパルス」を
お父様から継がれました。現在お母様がウェイトレスとして働かれています。
店名:インパルス
住所:〒604-8033 京都府京都市中京区河原町通蛸薬師上る 奈良屋町292
営業時間:9:00~22:00
定休日:木曜日(祝・月末除く)
アクセス:京都市営バス河原町三条駅から徒歩3分
電話番号:075-255-3629
モーニングセット:「モーニングセット!」¥650-(9:00〜11:00)
生まれ育ちが岡崎だった松井さんにとって、
平安神宮やロームシアター、京セラ一帯が憩いの場。
風のない日が特に気持ちよく
春は桜が、夏は蛍…と季節折々の楽しみ方があるそうです。
120年の歴史を味わう
salon de 1904