書店主のおすすめ「京都本」

京都浄土寺の古書店「竹岡書店」店主がおすすめする京都の本3選

100年前の絵葉書をも取り揃え、古本祭りの誕生を知る古書店

銀閣寺道から徒歩2分の左京区浄土寺西田町に『竹岡書店』はあります。
お店はたくさんの本で溢れ様々なジャンルの本を取り揃えているため幅広く、多くの人がお店に足を運びます。

店主の竹岡さんは、とても気さくな方で自分が本屋を継いだきっかけや、古本祭が誕生した当時のことなど優しくお話してくださいました。百万遍の知恩寺で竹岡さんがお茶を習っていたそうで、そこでお寺の方と仲良くなって「知恩寺で古本市を開いたらどうか」と、話になったのが古本祭りのきっかけだそうです。
竹岡さんおすすめの京都本を3冊ご紹介します。

京都に暮らしながら読みたい本

『古都世界遺産散策』1997年発行 松本章男・著(¥880)

この本は古都京都の文化財として世界遺産に登録されている17の社寺仏閣を、それぞれの季節に訪ねた紀行書です。京都生まれ京都育ちの著者が17の世界遺産それぞれを春夏秋冬に訪れ、肌で感じた四季の移ろいをしたためたこの本は京都の世界遺産のリアルがあります。

京都に数ある文化財の中で世界遺産にスポットを当てた観光雑誌は数しれず。観光地としてではなく歴史資産としての京都の世界遺産を一年を通してつぶさに見続けたこの本には、一度訪れただけでは気付けなかった新たな発見があります。

京都へ訪れる前に読むべき本

『山麗水明の京洛の勝地を眺め』作者 発行年不明(¥2,750)

旅先で当地の景色が描かれた絵葉書に文をしたためるという楽しみがあれば、竹岡書店では100年前の絵葉書に文をしたため過去に思いを寄せるという楽しみができます。この絵葉書は山麗水明(さんしすいめい)の京洛の勝地という名がついた14枚セットで販売されており、明治頃の京都の風景が絵ではなく写真として刷られています。

竹岡書店ではこういった絵葉書の在庫も多く、絵葉書を買い求めに来るお客さんもいるそうです。今となっては資料として貴重になりつつある昔の絵葉書を古本屋で買えることはとても贅沢に感じます。

京都旅行中に読むと染みる本

『大成版観世流謡曲百番集』観世左近・著 1982年発行(¥11,000)

観阿弥世阿弥で有名な能の大家観世流(かんぜりゅう)は、日本を代表する能の一派として日本はもとより世界各国で公演を行っています。この謡曲集は観世流の曲目の言わば上演台本のようなもので、声楽部分の歌詞が綴られています。戦前から発行が続けられるこの本は、今でも能のバイブルとして多くの人に愛用されているようです。能を習う方が解りやすいようにとの配慮からなのか、歌詞の部分と連動して踊りの際の体の動きが古風なイラストで描かれているところに私は何か面白みを感じてしまいました。能に興味がある方におすすめの一冊です。

竹岡書店

住所:〒606-8417 京都府京都市左京区浄土寺西田町81-4
営業時間:平日 10:30〜19:00/土曜 10:30〜18:00
定休日:日曜
アクセス:銀閣寺道から徒歩2分
電話番号:075-761-4554


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