平安神宮から徒歩10分、左京区二条川端東入新車屋にある「中井書房」
部屋全体が本に溢れ、様々なジャンルが取り揃られていて専門的な本も多く今の私たちが読んで学びを得られるものがたくさんありました。
中井書房さんは映画『パッチギ』のロケ地にもなっており、パッチギのファンの方もよく 足を運びに来るそうです。撮影時のお話も店主さんがお話してくれるので違う視点で楽し めます。
店主の中井さんは気さくな人で笑顔で色々なお話をしてくださり会話が絶えない明るい方です。
本とお客さんをとても愛していて「お客さんが本を何も買わなくてもまた来て貰えるよ うなお店にしたい」とお話されていて、何度も訪れたくなる、とてもあたたかいお店です。
(本の紹介に入る前に一つお礼しておかなければならないことがあります。今回訪問させていただいた中井書房の店主中井さんは、「読みたい本は自分で探すもの であって店主が人に紹介すべきではない」というスタンスをお持ちでした。にもかかわらず今回、京都館の企画のために3冊ほど本を紹介してくださいました。その節はありがとうございました。)
中井さんおすすめの京都本を3冊ご紹介します。
『百年前の新潮文庫創刊版 完全復刻「人生論」「エルテルの悲しみ」 「はつ恋」「人形の家」「ロミオとジュリエット」』平成26年 新潮社
レフ・トルストイ、ヨハン・ヴォルフガン グ・フォン・ゲーテ、イワン・ツルゲーネフ、ヘンリック・ イプセン、ウィリアム・シェイクスピア 著(¥4900+税)
この本は世界的に有名な文学5作品を集めた文庫本セットです。題名からわかる通り ただ作品を集めた訳ではなく、あの有名な新潮社が創業当時に出版した創刊の文庫5冊を平成26年の新潮社創業100周年の記念に復刻させた、というプレミア付きの文庫セットになっています。完全復刻と銘打つくらいで、造本から表紙の色、さらには背表紙の箔押しまで忠実に再現されています。
100年前は本というと非常に高価なものでしたが、この新潮文庫創刊版は一般庶民にも手に届く本を創るという画期的な目標のもとで作られた本であり、その後の文庫本のベンチマークとなった貴重な本になります。さらに文庫本を閉じたときの紙の部分、小口は5冊それぞれ色がついており、並べておくだけでも絵になります。100年前としては珍しかった日本語による全訳で読める貴重な5つの作品。読むだけでなく蔵書として棚に飾るのにも最適な文庫セットです。
『名曲京都市歌の歴史』 令和2年 西村優汰 編(無料配布)
京都市歌は京都市の制定した市町村歌であり、京都市内外で知られる名曲です。この冊子では、京都市歌の歴史について歴代の京都市歌を紐解きながら分かりやすく 解説しています。京都の土地柄や文化を歌詞に乗せた歴代の京都市歌を解説するこの冊子は、京都に訪れる人に是非お勧めしたい一冊です。かくいう私は京都市歌の存在を全く知らなかったのですが、冊子を一通り読めば京都市歌を知らない方でも一度は京都市歌を聞いてみたくなる、そんな魅力がありました。
この作品は本ではなく冊子であり、販売されているものではありません。そもそもこの冊子は京都市歌を研究されている個人の方が編集されたものです。そしてその編者が私たちと同じ “大学生の方” というから驚きです。冊子の中には京都市歌に関する資料写真が載っていますが、そのすべてが編者の個人所有であることを見ると、編者の京都市歌への愛を感じずにはいられません。学校で幼いころに京都市歌を歌っていたという方から京都市歌を全く知らない方まで、幅広くお勧めできる一冊です。
売り物ではなく無料配布の冊子なので、お求めの方は編集者の西村さんへご連絡を。
『京都習字之友』 昭和26年京都習字の友社 編 (¥2500+税)
こちらも上記と同様に本ではなく冊子となり、同じく非売の品です。この冊子は今から70年ほど前の昭和26年に、京都習字の友社という習字同好団体が創刊した冊子です。70年前の冊子ですが、まったく色落ちせず鮮やかな色彩そのままの状態を保っています。冊子の中身には習字の友社の会員が書いた書の数々が紹介されています。70年前、まだ終戦からされ程経っていない中でもこれだけ立派な冊子に書がまとめられているのは珍しいのもと言えるのではないでしょうか。
この冊子は書店の三冊おいてあり、その中には創刊号も含まれています。戦後の京都に おける習字のさきがけともいえる冊子です。習字、書道をされているかたに特におすすめし たい貴重な一冊です。
住所:〒606-8375 京都府京都市左京区 二条川端東入新車屋163
営業時間:11:00〜19:00
定休日:火曜日
アクセス:京阪「三条」徒歩5分、市バス「川端二条」徒歩2分
電話番号:075-751-5445
町屋古本はんのき
西陣の路地先にある、隠れ家のような古書店