石切神社のネキの製材所から始まり、1950年に漢方専門店として独立を果たした阪本漢方堂。立ち寄ると、見たことも聞いたこともない漢方、いろいろな茶色がずらりと並び、幼いころ駄菓子屋に行った時のような興奮を覚えてしまう。中には親子4世代に渡って利用する人もいるほど、京都の人々から愛され続ける漢方堂だ。
代表の商品は赤マムシ軟膏。切り傷やニキビ、果ては水虫にまで効果があるという万能な軟膏。そしてなんといっても煎じ薬は保存が効かなく調合も難しいが、阪本漢方堂がここまで生き残るわけはここにある。お客様のお話をよく聞いて、不安のないところまで相談できる。
そういう人々の駆け込み寺的存在は、当たり前のようできちんと努力に裏打ちされている。
生きていると、誰でも体の不調に巡り合う。私たちはその都度病院へ行って、棚に並ぶアレコレを処方してもらい、疑いもせずに服薬する。化学を信じるのは慣れてるのに、街の漢方屋ははじめ疑っちゃう。悲しいけど、それってなんだか仕方がない。
でもせっかくなら、自分の目と体で確かめてもらいたい。大切な体、みんな一つずつしか持っていない体だから、自分に合う漢方くらい、一つ知っていても損はない。
津之喜酒舗
錦市場の真ん中、人々で賑わう酒屋