京都暮らしプラス・ワン ♯07京藍染作家・松﨑 陸さん

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食、器、服、アート、そしてサブカルチャーまで、良質なプロダクトや文化が生まれ、集まる京都。
そんな京都のエッセンスを暮らしにプラスすることで、毎日はもっと豊かになる。
様々な分野で活躍する京都の人々に、自分の“プラスワン”をお聞きします。

桜や新緑、紅葉、苔生す庭に歴史ある町家、鳥居やお抹茶など、一年を通して印象的な色がそこかしこに散りばめられている京都。
かつて、そんな風に京都の暮らしに溶け込み、さりげなく彩りを添えていたのが、「正藍染」という染織技術。自然のものだけで染められたその色は、深みがあり、優しい風合いの美しいブルー。
松崎 陸さんは、その風合いと彩りに魅せられて、ゼロから藍染の世界へ飛び込んだ、新進気鋭の藍染作家です。

NYで初めて出会った「ジャパンブルー」

「藍染に出会ったのは、大学を卒業して遊びに行ったニューヨーク。『ジャパンブルーだよ』と教えてもらったのが始まりです」。

そう話すのは、藍染作家として独立したばかりの松崎陸さん。

「帰国してから藍染について調べてみると、日本に昔からある伝統産業で、原料はすくも(蓼藍という植物を発酵させたもの)と、木灰の灰汁という天然の原材料だけで染められていると知りました。同じ頃、京都で江戸時代から続く『染司よしおか』の展覧会にも足を運び、天然素材だけで、藍色以外にもバリエーション豊かに色が出せるのかと衝撃を受けました。『この色を自分で出してみたい!』と。それですぐに『染司よしおか』の5代名目・吉岡幸雄氏に弟子入りをお願いしましたが、すぐに断られましたね(笑)」。

それまでまったくの未経験だったこともあり、弟子入りは断られ続けていましたが、ある日「愛媛県西予市にあるシルク博物館で2年間、イチから学んで来るなら」と条件付きで受け入れてもらえることに。

「行きます!と即答しました。シルク博物館では染織の技術だけではなく、養蚕から反物に仕上げるまでの知識と技術を学びました。これは本当にいい経験で、今、染織に失敗してもどの工程が原因なのかが分かる。原因が分かると改善できるんです。2年修行して晴れて『染司よしおか』に入門することになりましたが、最初に3年で独立しようと決めました。僕の性格上、それ以上いるとダラダラ過ごしてしまいそうでしたから。でも実際は、3年なんて短い期間では到底理解できない、深い世界でした」。

毎日誰よりも早く職場へ行き、朝の掃除から始まって一日仕事をした後は、給料を注ぎ込んで買い足していった道具を使って自宅で染織の勉強をしていた松崎さん。

「5代目・吉岡幸雄さんと、『染司よしおか』の染師・福田伝士さんが僕の師匠。吉岡さんからは歴史を学び、福田さんからは技術を学びました。ほとんど実験のような毎日でしたね。例えば、たで藍や琉球藍、インド藍など藍を比べたり、仕込み方法を少しずつ変えたり。ちなみに、インド藍がなまってできたのが“インディゴ”という言葉。吉岡さんには、とにかく歴史を知りなさい、とよく言われていました」。

現在、松崎さんは一般的な蓼藍(たであい)を使っていますが、いずれ「小上粉(こじょうこ)」と呼ばれる京都原産の京藍を、自分の畑で栽培し染織に使いたいと考えています。

「江戸時代まで、東寺のまわりは藍畑だった、と古い文献で知りました。廃れてしまったのは、海外から化学染料を使った、効率よく染められる製法が入ってきたから。合理的で大量に製造できるその製法は瞬く間に伝統製法にとって代わりましたが、色落ちせず、しっかり染まるのは昔ながらの製法なんです」。

藍染の風合いを楽しめるアイテムを身につけて

松崎さんが大切にしているのが、『染司よしおか』の化粧ポーチ。重層的な色合いを持ちながら、軽やかで優しい風合いは、いつまでも見つめていたくなる魅力があります。

「これは、もえぎ色という色。化粧ポーチなんですが、僕は自宅の鍵など、失くしてはいけない大切なものを入れています。柔らかくて手触りもいいんですよ」。

鮮やかなブルーが目を引くポーチは、GROMWELLという松崎さんのオリジナルブランドのもの。

「染織の根源を突き詰めていく過程で、すべての“根源”をテーマに作ったポーチです。生地は、130年の歴史を持ち、倉敷で初めて帆布を織り始めたTAKEYARI帆布のもの。ジッパーは、世界で最初のファスナーブランド、アメリカのTALON製で、一点一点染め上げて、自身で縫製しています」。

空色の爽やかなシャツも、松崎さんオリジナル。

「アメリカのアイビーリーガーが60年代に愛用していたオックスフォード生地のシャツを、丈はそのまま、身幅は広めに現代風にアレンジしました。他にも、餅糊で思いのままに描いて染めたタペストリー(トップ写真)など、ディテールにこだわって作るのが楽しいです」。

土から始まり土へと還る、循環型の物づくり

修行していた当時は、住んでいた団地の浴室で染織していましたが、独立した現在は、畑で藍を育てるところから取り組み始めた松崎さん。

「藍という植物を育て、自然素材だけで作られたものに、自然のものだけを使って染織する。そこで生まれたものは、いずれ土に還ることができます。土から始まり土へと還る、循環型の物づくりが、今の僕にできること。そして僕が何よりも大切にしたいことです」。

工房となる予定の建物の前には、蓼藍の苗を植え付ける予定の畑が広がっています。

「いずれ、地域の小学生や僕よりも若い世代に向けて、藍染の授業や染め体験を開催したい。一度廃れてしまった京都の藍染を、いずれ未来へ繋いでいきたいですね」。

MatsuzakiRiku
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GROMWELL
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