(後編)倉田茉美さんと行く “恋しくて、美味しくて京懐石”
前編では、「京都きもの小町 京店」で、東京にいながら京都のきものにすっかり魅了された倉田茉美さん。
せっかく綺麗な着物を着たんだし、東京の街を歩きたい! そして京都らしいものを食べたい! ということで訪れたのは銀座。
京都グルメの代表格と言えば「京懐石」ですが、京都市出身の倉田さんであっても、なかなか足を運ぶ機会のない、ちょっとハードルの高いもの…というイメージ。
でも東京で京懐石を気軽に楽しめるお店があるんです!
京懐石、美しいおもてなし
今回倉田さんが訪れたのは、銀座東急プラザの中にある「下鴨茶寮 東のはなれ」。
東京で京都の情報を発信する京都館“のれん分け事業者”に認定されています。
また,京都の本店は世界遺産である下鴨神社のほど近くにあり、創業はなんと安政三年(1856年)。かつては下鴨神社の境内に店を構えていたという老舗料亭です。
「下鴨茶寮 東のはなれ」は本店の歴史や伝統を受け継ぎながら、銀座という立地に合わせて日本料理の作法を知らない外国人観光客でも楽しめるようにカウンター席も用意。
目の前で調理するライブ感が味わえるなど、料亭は初めてという人でも利用しやすいお店になっています。
もちろん料理は本店と同じく京懐石・京料理の神髄であるお出汁や、京野菜を使った上品で繊細な料理が味わえ、そこに一切の妥協はありません。
懐石料理は茶道の中の“茶事”(お客様を招いてお茶や食事でもてなす茶会のこと)から始まったとされ、千利久の桃山時代に開花したといわれています。
一汁三菜を基本とし、何より大切にしているのが季節感。
“京懐石”は良質な地下水や豊富な食材に恵まれた京都で独自に発展し、今もなお進化し愛され続けている料理です。
京都に住んでいたころ、数回京懐石を味わったことがあるという倉田さん。
「京都でもめったに機会がありませんでしたが、東京に来てから京懐石をいただくのは初めて。本店は京都でも有名なお店なので期待が高まりますね!」
「下鴨茶寮 東のはなれ」のランチなら、昼懐石が8000円、ミニ懐石が5000円と本格的な京懐石がリーズナブルに味わえます(夜懐石は15000円~)。
“京懐石”では素材がもつ本来の味わいを活かすため、丁寧にとったお出汁を使い、煮る・焼く・蒸すといった調理法を使って調味は最低限に抑えた薄味が基本。
「“走り”、“旬”、“名残”と素材がもつ季節感を大切にし、月ごとに変わるメニューで季節のうつろいを感じていただけるよう、お料理を提供しています」と教えてくれたのは、料理長の磯﨑さん。
倉田さんの前に用意された昼懐石は、旬のたけのこやほたるいかを使った「先附」(京懐石の前菜のようなもの)、たっぷりの一番出汁を使った「椀物」など甘味も入れて全10種。
目の前に並んだ料理の数々に、「どれも色鮮やかで、桜の花びらなど春を思わせる工夫がしてあり、見ているだけでうきうきとした気持ちになりますね。食べるのがもったいないし、どれから手をつけたらいいのか、迷ってしまいます」と倉田さん。
外国人観光客も多い「下鴨茶寮 東のはなれ」なら、お料理をいただくときにも特別なルールや作法はありません。
「ここでは作法を気にせず、自由に食べたいものから召し上がってください」と磯﨑さんは話します。
「どれも食材一つひとつの味がしっかりしていますね。お皿から春を感じます。京懐石ってハードルが高いイメージだったけれど、カウンター席なら話もしやすくて気軽に利用できそうです」と堪能した様子の倉田さん。
銀座の喧騒から一歩足をふみいれるだけで、まるで京都の料亭に来たような上質な気分に浸れる、下鴨茶寮 東のはなれ。
「京都きもの小町 京店」で選んだ京きものを着て満喫した1日を振り返って「着物を着ているのと着ていないのでは、京懐石の味わい方にも違いがあるように感じますね。着物をまとっているだけで、一つひとつの所作がていねいになり、お料理の味わいもより深くなるように感じます。東京にいるとなかなか“ほっこりする時間”を過ごすのが難しいけれど、今日はまるで京都にいるような“ほっこりとした時間”を過ごせました!」
イラストは取材後に、倉田さんが描いてくれたもの。
地元京都の伝統や食文化の魅力にふれ、新たな京都の楽しみ方を再発見した1日。
東京にいながら、京都が身近に感じられる時間になりました!
割烹料亭 銀座 下鴨茶寮 東のはなれ
東京都中央区銀座 5-2-1 東急プラザ銀座 11F
https://www.shimogamosaryo.co.jp/ginza/
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