寺町アーケードを歩くと目に留まる一面ガラス張りの店、大書堂。窓一面に貼られた浮世絵に
吸い寄せられ立ち止まる人も多い。
創業した昭和元年当時は古書の露天商だったが、扱う商品を時代に合わせ変えていき、今は海の向こうでも知られる版画専門店として商いを続けている。
7割以上のお客さんは海外からやってくる。
京都に来たらきっと必ず寄ってやるんだ、と意気込んで来たのが想像できるくらい、長い時間を費やして興味深そうに見入っている彼らを何度も見かけた。
ここ最近、街で見るのはデジタルなグラフィックばかりだ。その大半がパソコンで作られたものたちであることは言うまでもない。
大書堂で扱うものはそんな今を生きる私たちからするとあまり馴染みのない木版摺製品。
一つ一つが放つ力も圧巻だから、ふらり立ち寄って眺めるだけでも満足度は高いが、お気に入りを持ち帰って、これらが身近な娯楽だった時分を想像して楽しむのも乙な時間だ。
大書堂には高価な商品も置いてあるが、実は1000円台の小さく手頃なものも多いので、是非怖
気付かずに寄って欲しい。
今は制作不可能な文化を見て、それを作った人間の手と自分の手がいま現代で触れ合うのだから、行く労力など問題ではない。なんならお釣りがくるほどだ。
なんでもそうだが、行ってみて初めてわかるということは、ある。当たり前で、忘れがちなことだ。
読者が版画たちに目覚めるのは、大書堂に行ってみる日からかもしれない。
場所:〒604-8045 京都府京都市中京区寺町通錦小路上る円福寺前町274-2
営業時間:11:00~17:30
定休日:水曜日
津之喜酒舗
錦市場の真ん中、人々で賑わう酒屋